部門紹介
X線透視下でカテーテルという管を足の付け根や腕などの太い血管から入れて、目的の血管まで到達させ、そのカテーテルを使って目的の血管に造影剤という薬剤を注入して撮影を行い、検査や治療をします。適応される部位は頭、肝臓、心臓、四肢血管などほぼ全身の血管となります。
近年では、診断だけでなく血管の狭窄部位を拡げる血管拡張術、腫瘤を栄養する血管を閉塞させる血管塞栓術など、カテーテル手技を利用した治療(IVR:画像下治療)がほとんどです。
血管造影室では、撮影グループの診療放射線技師10名(血管造影・インターベンション専門診療放射線技師取得者3名)のうち稼働検査室に合わせて3~6名と、臨床工学技士・看護師とともに、様々な診療科と連携して手技を行っています。
検査室紹介
当院の血管造影室は中央診療棟地下1階に4部屋、5階手術室に1部屋あります。
検査・治療概要(主な症例)
心臓疾患
- 経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention:PCI)
- 狭心症や不安定狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患を対象として、冠動脈内の狭窄部、または閉塞部の血流を再開させる治療です。先端に風船がついたバルーンカテーテルを進め、風船を拡張させて内腔を拡げ、網状の金属製ステントを病変部に留置することで血流を再開させます。
- 心筋アブレーション
- アブレーションは頻脈性不整脈の治療を目的として行われます。先端から高周波電流が流れるカテーテルを足の付け根から進め、心電図などのデータを元に、不整脈の原因を特定、焼灼することで治療します。EnSiteシステムとCARTOシステムによる治療が2部屋で行われています。
- 経カテーテル大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic Valve Implantation:TAVI)
- 大動脈弁狭窄症などにより硬くなった弁を人工の弁に取り替える治療であり、開胸することなく行えるため外科的手術に比べて身体への負担が少ないです。
大動脈弁狭窄症などにより硬くなった弁を人工の弁に取り替える治療であり、開胸することなく行えるため外科的手術に比べて身体への負担が少ないです。
脳疾患
- 脳動脈瘤の治療
- 動脈瘤にできたこぶ状のふくらみである脳動脈瘤の形に合わせて中に複数の柔らかい金属できた コイルを隙間なく埋め、動脈瘤が破裂するのを防ぎます
脳疾患の適応疾患としては、脳梗塞、くも膜下出血、脳動静脈瘻・奇形、脳動脈瘤、頚動脈狭窄症があげられます。
体幹部疾患
- ステントグラフト内挿術(Endovascular Aortic Repair : EVAR)
- 腹部大動脈瘤に対する血管内治療であるEVARは、金属の骨格構造を持つ特殊な人工血管を足の付け根にある大腿動脈から血管内に挿入して、腹部を切開せずに留置することで、大動脈瘤にかかる圧力を減らそうという治療法です。ハイブリッド手術室で行われます。
脾動脈瘤
- 血管塞栓術(Transcatheter Arterial Embolization:TAE)
- 大動脈から分岐して脾臓に血液を送る動脈にできる瘤を、カテーテルを用いた血管内治療で、瘤とその入り口と出口となる血管をコイル(プラチナ製の糸)で詰めて、瘤内の血流をなくす治療です。
体幹部疾患の適応疾患としては、肝細胞癌、肺動静脈瘻、胸部・腹部大動脈瘤、内臓動脈瘤、消化管出血、産後出血があげられます。
その他疾患
- 末梢血管形成術(Endovascular Treatment:EVT)
- 全身の動脈の中でも手足に血液を届ける動脈を「末梢動脈」と言います。この末梢動脈の動脈硬化がすすみ、狭窄や閉塞が生じることで手足に十分な血液が供給されない末梢動脈疾患につながります。
ABI(手足の血圧の比較)やエコー検査を行い、これらの検査で進行した病変が疑われる場合は造影CTやMRI、カテーテル検査など詳細な評価を行います。病状が重い場合には狭窄や閉塞を解除するために、風船やステントを用いて治療を行います。
その他疾患の適応疾患としては、下肢血管閉塞、上肢シャント閉塞があげられます。
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